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日の丸弁当
新聞社からの依頼で1年間41週の連載をお受けした。それは素食の旅と題して、これをあの日あの時食べてあの時代を乗り切ったというコンセプトでの連載。素食の素は粗末ではなく素、原動力、思い出としたのでした。そんな中出会った方の取材時の事、薄っぺらな日の丸弁当がだんだん厚くなる。それにおかず一品が付いた時、やっと胸をなで下ろした。そんな日の丸弁当にも意外な技があった。ご飯に小さじ軽く一杯の塩をいつもより多く振りかける。夏は腐らないように少し酢を振りかけ、水っぽい梅干しを選ぶ・・・・と続いた。作る人と、食べる人の食とは何か、そのことについて真剣に考えるようになった。質素ではあるがこの日の丸弁当、作り手と食べる人の関係性がこの食によって、感謝と生きる原動力になる。私はこの作品を、私の作家活動の原点にしています。作品とは究極にシンプルなものであり、何もたさない、何もひかない、あるがまま。作品とはその人の生きてきた証の集合体であり、実にシンプルなことに集約されると。その時初めて曖昧と言う感覚が生まれ、その曖昧は見る人の其々の意識を刺激し閃きや、衝動が開花する。それが作品と言うものだと私は思うのです。
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