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十五夜の月と白龍 稜線山海回帰05
備後灘、向こう側を伊予は燧(ひうち)灘と呼ばれています。遥か昔満月の夜のこと。白い大蛇が、観音菩薩に誘われるように池を出て、瑠璃の山を越える頃大蛇の身体が少しずつ変化し始めます。対岸にある向島の地下をくぐり抜け、地を切り裂き進みながらも速度は増し、大蛇は軽くなった身体に勢いをつけて地上へと勢いをつけて一心に這い上がります。そこは広く静かな夜の海でした。眩いばかりの白龍が、キラキラと月明かりに照らされて輝きながら天空に舞い上がります。十五夜の月明かりの中に吸い込まれていきました。白龍が勢いよく天空に昇ったその時、海底が盛り上がり出来たのが百貫島だと言われています。これは伝説です。しかし、伝説には意味があります。世界に残る龍の伝説は、水脈のことを意味するのだと伝えられています。この日私はその伝説を思い出しながら、心静かに月明かりと百貫島に相対していました。気のせいでしょうか、何かが聞こえてきた気がしました。
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